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労働衛生の3管理の詳細や具体例・事例などを紹介

2025.09.08
労働衛生の3管理の詳細や具体例・事例などを紹介
働く人々の健康と安全を守るうえで欠かせないのが、職場における労働衛生管理です。特に「労働衛生の3管理」と呼ばれる概念は、企業や事業所が従業員の健康を維持し、快適な労働環境を確保するための基本的な指針として重要視されています。

今回の記事では、労働衛生の3管理の概要やそれぞれの内容、さらに実際の具体例や事例を交えながら解説します。

労働衛生の3管理とは?

それではまず、労働衛生の3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)の概要を解説します。

作業環境管理

職場の空気や温度、照明、騒音、化学物質の濃度など、従業員が働く環境を安全で快適な状態に保つことを目的とした管理を指します。例えば、化学工場や塗装現場では有害物質が発生する可能性があるため、換気装置の設置や定期的な濃度測定を行い、作業者が安全に働ける環境を維持する必要があります。

また、オフィスなどでの長時間の作業による眼精疲労や温度環境による体調不良を防ぐための照度や空調の適切な管理なども含まれます。作業環境管理は、健康障害の未然防止に直結するため、法令に基づいた測定や改善計画が不可欠です。

作業管理

労働者が従事する作業の方法や時間、労働負荷を適切にコントロールし、健康被害や労働災害を防ぐことを目的とした管理です。例えば、重量物を扱う現場では持ち上げ方の教育を徹底し、リフトや台車といった補助機器を導入することで、腰痛などの身体的な健康被害の発生を未然に防げます。

騒音や振動が発生する作業では耳栓や防振手袋などの保護具を着用させるだけでなく、作業時間を分散させることで長時間のばく露を避け、作業者への負担を軽減できます。定期的な作業手順の見直しや安全教育を組み合わせることで、安全で効率的な作業環境を維持することができます。

健康管理

労働者一人ひとりの健康状態を把握し、疾病の予防や早期発見、重症化の防止を目的とした取り組みです。定期健康診断や特殊健康診断を実施し、作業環境や業務内容に起因する健康リスクを早期に見つけ、必要に応じて就業制限や治療の手配を行います。

近年では、生活習慣病予防のための健康教育や運動指導、禁煙支援などの施策を取り入れる企業も増えています。健康管理は、従業員が心身ともに健やかに働き続けられる職場づくりの基盤となる取り組みです。

【労働衛生の3管理】具体例・事例

【労働衛生の3管理】具体例・事例
ここからは、労働衛生の3管理のそれぞれの具体例・事例を紹介します。

作業環境管理

専用ケースの貸与による整理整頓の習慣化
金属部品の組み立てを家内労働者に委託している企業が、部品を安全に保管し作業場を整理できるよう「専用ケース」を貸し出しているという事例があります。それにより、労働災害防止の基本である整理整頓が習慣化し、安全な作業環境の維持が実現しています。

作業場の照度を測定し適切な明るさを確保
宣伝用ののれんやのぼり旗の加工会社では、高齢の家内労働者が多いことを考慮し、作業場の照度を測定。照明の角度や明るさを適切な状態にし、作業環境を改善しています。

委託前に換気状況を確認
ゴム製品の製造会社では、接着作業を委託する前に必ず作業場を訪れ、換気の状況を確認。マンションなどは換気が制限されることがあるため、現地確認により安全性を確保しています。

注意喚起にイラストを活用
ゴム製の自動車部品を扱う会社では、外国人労働者にも分かりやすいよう、文字情報だけでなくイラストを活用して危険箇所や禁止事項を伝達。労働災害のリスクを軽減するための職場環境づくりを進めています。

参考:作業環境管理の好事例

作業管理

縫製作業での手袋の着用の推奨
厚い生地をミシンで縫製する作業を家内労働者に委託している鞄製造会社では、縫製作業で生地や糸を強く押さえる必要があり、手首への負担が大きいため、市販のゴム製手袋を着用することを推奨しています。

座作業と立ち作業の交代制で腰痛を防止
家内労働者が座って縫製を行う作業と、立って生地を切ったり畳んだりする作業を交互に実施できるようにしている印刷物加工会社もあります。分業制を採らず一人が複数工程を担当することで、同じ姿勢が続かず腰痛防止や気分転換につながり、労働者からも好評だといいます。

個別マニュアルを作成した指導
自動車用ヘッドレストやアームレスト縫製を委託している会社では、作業者の理解度や特性に応じて個別のマニュアルを作成。写真や注釈を加えて分かりやすくし、安全衛生に関する情報を確実に伝える工夫をしています。

定期的な内職者会議で情報共有
電気機械器具用ハーネス製造会社では、年1回「内職者会議」を開催。複数回に分けて少人数で実施し、委託者からの情報提供だけでなく家内労働者の意見も取り入れ、安全衛生活動の改善に役立てています。出席には手当を支給し、参加率を高めています。

参考:作業管理の好事例

健康管理

委託者が家内労働者の労災保険の費用を負担
アルミニウム製部品のバリ取り作業を家内労働者に委託している輸送用機器の部品を製造する会社では、細かい金属を扱う作業にけがや事故のリスクが伴うことから衛生対策の実施に加え、費用を負担して家内労働者が労災保険特別加入制度に加入できるよう支援。万一の事故に備え、安心して働ける体制を整えています。

委託者が家内労働者の健康診断の費用を負担
同じく輸送用機器の部品製造会社では、ダイカスト鋳造されたアルミニウム部品のバリ取り作業を委託しており、その作業では粉じんが発生することから、安全対策を徹底するだけでなく、委託者が費用を負担し、家内労働者に定期健康診断やじん肺健康診断を実施。作業者の健康を長期的に守る取り組みが行われています。

参考:健康管理の好事例

労働衛生対策の進め方・注意点

労働衛生対策の進め方・注意点
労働衛生対策を進めるにあたっては、まずトップが積極的な姿勢を示すことが不可欠です。経営層が労働衛生を企業の重要課題と位置づけ、明確な方針を打ち出すことで、組織全体に浸透しやすくなります。さらに、安全衛生委員会の設置や労働者からの意見を収集できる仕組み化などの体制構築も重要です。

その上で、作業環境測定や従業員へのヒアリングを通じて、騒音・粉じん・換気・照度・作業姿勢などの現状を正確に把握し、課題を明確化します。得られた情報を基に、法令やガイドラインを参考にしながら、作業環境管理・作業管理・健康管理の3つの観点から総合的な改善計画を立案します。

対策を導入する際は、労働者の意見を反映させ、現場で無理なく実行できる内容にすることが大切です。さらに、導入後も定期的に評価・見直しを行い、労働災害や健康被害を未然に防ぐ仕組みを継続的に実施することが欠かせません。

労働衛生の3管理について

今回は、労働衛生の3管理である「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」の詳細と具体例を紹介しました。それらの取り組みは、労働者の安全と健康を守り、快適な職場環境を実現するために欠かせません。社内体制を整え、現場の状況を正しく把握し、法令遵守と労働者の意見を踏まえた対策を講じることで、労働災害や健康被害のリスクを減らし、生産性の向上にもつながります。

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