建築・建設現場において、足場は効率的かつ安全な高所作業を実現するために必要不可欠な設備です。
しかし、一口で足場といっても、用途や役割が異なるさまざまな種類が存在します。
墜落・転落などの労働災害を防止し、効率的に高所作業を進められる環境を整備するためには、現場の状況や用途に合った足場を選定することが重要です。
そこで本記事では、足場の主な種類とその特徴について詳しく解説します。足場を選ぶ際のポイント・注意点や足場を立てづらい箇所で活用できるおすすめの可搬式作業台も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
足場の種類とその特徴
建築・建設現場で活用されている足場には、以下のような種類が存在します。
- 単管足場
- くさび式足場
- 枠組足場
- 吊り足場
- 移動式足場
ここでは、足場の種類ごとに特徴やメリット・デメリット、用途などを詳しく解説します。
単管足場
単管足場とは、単管(鉄パイプ)を連結して組み立てるタイプの足場です。単管パイプの他に、以下のような金具や部材を組み合わせて簡易的な足場を組み立てます。
- 土台となる「ベース金具」
- クランプと呼ばれる「連結金具」
- 単管同士を繋ぎ合わせる「ジョイント金具」
- 単管の間に斜めに入れることで構造的な強度を高める「筋交(ブレス)」 など
必要な部材がシンプルなので、自由な形状に組み立てやすく、他の種類の足場と比較して低コストで組み立てられるというメリットがあります。
加えて、奥行きのない構造なので狭いスペースにも設置しやすく、主に住居が密集している住宅街や、隣接しているビルの隙間など局所的なスペースで活用されている足場です。
なお、単管足場には作業床となる「踏板(アンチ)」を設置できないケースもあります。そのような構造の足場では、作業員は単管の上で作業する必要があり、安全性や耐久性の低さが課題です。
くさび式足場
くさび式足場とは、部材がユニット化されており、くさびを打つように各パーツをハンマー等ではめ込みながら組み立てる構造の足場です。
一定間隔で緊結部を備えた単管パイプをベース金具にはめ込んだ支柱に、以下のような各部材の両端に付いたくさび部分を打ち込むことで、足場を構築します。
- 手すり単管
- 踏板(アンチ)
- ブラケット
- 筋交(ブレス)
- 鋼製階段
- 階段手すり など
部材がユニット化されているため、基本的にハンマーのみで簡単に組み立て・解体できる点がメリットです。
また、他の足場と比較して各部材がシンプルかつ軽量な構造になっているため、少ない人員で組み立て作業を進められます。
低コストで設置しやすいうえに、単管足場と比較して安全性・耐久性も高いため、コストパフォーマンスの高い足場といえるでしょう。
主に一般住宅を中心とした低層〜中層の建物に使用されますが、その汎用性の高さから使用範囲を広げており、近年では高層の建物に使用されるケースもあるようです。
枠組足場
枠組足場とは近年、幅広い建設・建築現場で活用されている最も一般的な種類の足場です。ジョイント機能を備えた金属製の「枠」と呼ばれる2本足の支柱を立て、以下のような部材を取り付けることで足場を組み立てます。
- ベース金具
- 踏板(アンチ)
- 筋交(ブレス)
- 鋼製階段
- 階段手すり
- ブラケット など
枠組足場は耐久性・安全性が高く、主に高層建築の足場として活用されています。また、くさび式足場には若干劣りますが、組み立てや解体作業を簡単に手早く進められる点もメリットです。
ただし、部材の強度が高い分、サイズも大きいため、広い設置スペースや搬入経路、保管場所が必要になります。足場設置が大掛かりになりやすく、他の足場と比較してコストや工期がかかりやすい点はデメリットといえるでしょう。
吊り足場
吊り足場は、上から作業床を吊り上げる構造の足場です。地面に足場を設置できない以下のような箇所に使用されます。
- 高速道路
- 鉄橋などの高架物
- 高層ビルの吹き抜け
- プラント設備 など
鉄パイプやチェーンによって、足場板を吊り上げる構造の吊り足場は、組み立ての難易度が高い傾向にあります。
落下事故のリスクも想定されるため、設置には専門的な知識・技術が必要です。特殊な構造であるがゆえに、安全面の確認などに時間がかかりやすく、工期やコストもかさみやすいでしょう。
その分、一度組み上がってしまえば、手すりに囲まれた安全性の高い空間で作業が可能です。足場を浮かせた状態で水平方向の広範囲に組み立てられるため、効率的に高所作業を進められます。
基本的に、一般的な足場を設置できない限定的な場所・用途で活用される特殊な足場といえるでしょう。
移動式足場
画像商品名:
昇降式移動足場「アップスター」
移動式足場は文字通り、組み上がった状態で移動できるタイプの足場です。
基本的な構造は枠組足場と同様ですが、固定式のベース金具ではなく、キャスター付きのベースを使用することで、移動を可能にしています。
また、作業床や手すりなどの防護設備や昇降のためのはしご、簡易的な階段を使用する点も特徴です。
主な用途としては、1箇所あたりの作業量がそれほど多くないピンポイントな工事・修理作業に使用されます。具体的には、以下のような工事に使われるケースが多いでしょう。
- 設備工事
- 塗装工事
- 配管工事
- 天井や壁の仕上作業 など
移動式足場を活用することで、作業箇所に合わせて細かく移動を繰り返しながら効率的に高所作業を進められます。加えて、通常の足場を組むよりも、短時間かつ低コストで設置できる点も大きなメリットでしょう。
ただし、あくまでも簡易足場の一種であるため、一般的な足場と比較して耐久性や安定性は劣ります。
足場を選ぶ際のポイント・注意点
建築・建設現場に設置する足場を選ぶ際は、以下のポイントを意識する必要があります。
- 建造物の高さは何mか
- 足場の設置スペースを確保できるか
- 工期や予算は見合うか
- どのような高所作業を行うか など
特に建造物の高さは、第一に確認するべきポイントです。足場には種類によって以下のような高さ制限が設けられています。
- 単管足場:31m以下
- くさび式足場:31m未満
- 枠組足場:45m以下 など
したがって、高さ31m以上の足場が必要な場合は、原則として枠組足場を設置する必要があります。
また、労働安全衛生規則の法改正によって、令和6年4月1日以降、幅1メートル以上の箇所において足場を使用する際は、原則として本足場の使用が義務化されています。
本足場とは、内側と外側の縦方向に2本支柱を設置する足場です。具体的には、枠組足場が該当します。つまり、足場の設置に必要なスペースを確保できる状況であれば、枠組足場を代表とする本足場が必要です。
他にも建設現場の工期や予算、高所作業の内容によっても、必要な足場は変わります。
まずは現場の状況を総合的に確認し、作業期間や予算と照らし合わせたうえで、最もコストパフォーマンスの良い足場を選びましょう。
【おすすめ製品】可搬式作業台「デスクまたぎ」
足場が必要のない高さでの高所作業には、作業台・足場台を活用するのがおすすめです。
なかでも、株式会社大同機械が提供している可搬式作業台「
デスクまたぎ」は、障害物が多い箇所の高所作業を効率化するのに役立ちます。
デスクまたぎは、幅780mm長さ2100mmのワイドな天板と、高さ1300〜1600mmのキャスター付きはしごが組み合わさった形状の作業台です。
5段階60㎜ピッチの伸縮機能を備えており、現場の状況に合わせて1人で簡単に高さを調整できます。点検口作業や設備のメンテナンス、天井や壁の仕上・改修工事など、障害物の多い場所でも、手軽に広い作業スペースを確保できるでしょう。
また、軽量かつ作業床ごと折りたためるコンパクト設計なので、さまざまな作業箇所へのスムーズな搬入出を可能としています。
さらに、作業床からの転落を防止する「手掛り棒」「セーフティガード」や作業中の揺れや転倒を防ぐ「アウトリガー」など、安全性を高めるオプションパーツも豊富です。
足場を設置しづらい箇所において、安全かつ効率的な高所作業を実現するために役立つ設備といえるでしょう。
製品詳細
デスクまたぎの製品・スペックの詳細は、以下の通りです。
型式 |
EPS-11 |
天板有効寸法 |
幅 |
780mm |
長さ |
2100mm |
作業床高さ |
1300〜1600mm |
ピッチ |
60mm |
設置寸法 |
幅 |
814mm |
長さ |
2490mm |
収納寸法 |
幅 |
814mm |
長さ |
528mm |
厚み |
1315mm |
自重 |
58kg |
許容荷重 |
1.47/150(kN/kgf) |
オプションパーツ |
・妻側バー付手掛り棒
・セーフティガード
・はしご
・アウトリガー
|
なお、製品ページでは、詳細資料として「デスクまたぎ」のカタログも配布しています。製品の詳細を確認したい方は、以下のページをご確認ください。
>>「デスクまたぎ」のカタログダウンロード・お問い合わせはこちら<<
足場の種類について
本記事で紹介してきた通り、足場にはさまざまな種類が存在し、それぞれに機能的な特徴やメリット・デメリットがあります。
したがって、工事現場で使用する足場を選定する際には、まず建造物の高さや設置スペースの広さなど、環境的な前提条件を確認することが重要です。
そのうえで、工期や設置コストなども考慮しながら、費用対効果の最大化を図れる足場の種類を選定しましょう。
なお、建築・建設現場で使用する足場材や高所作業設備をお探しの方は「
株式会社大同機械」へご相談ください。
当社では、本記事で紹介した可搬式作業台「デスクまたぎ」以外にも、安全かつ効率的な高所作業を実現する設備を多数取り扱っています。
作業台や足場台、脚立などはもちろん、各種足場材やローリングタワー、高所作業車まで現場の状況やご要望に合わせて最適な高所作業設備をご提案いたします。
必要な資材・設備を必要な期間・数量だけスムーズに調達できるレンタルサービスもご利用可能です。
建設資材・設備不足でお困りの方、製品やサービスの詳細を確認したい方は、ぜひ株式会社大同機械までお気軽にお問い合わせください。
>>お問い合わせ・お見積もりはこちら<<