地中梁は、建物の強度や安定性に大きく影響する重要な構造物です。とはいえ、建築業界に入って間もない方や基礎工事以外の作業に携わる方のなかには、地中梁に関する知識が不足している方もいるでしょう。
そのような方に向けて、本記事では地中梁の特徴と同じ基礎構造の一つであるベタ基礎との違いを詳しく解説します。また、地中梁の施工手順や設置する際の注意点も紹介したうえで、作業の効率化に役立つおすすめ製品も紹介します。
地中梁に関する知識を深めたい方はもちろん、施工を効率的に進めたい基礎工事業者の方も、ぜひ最後までご確認ください。
地中梁とは?
地中梁(ちちゅうばり)とは、文字通り地中に埋められた梁を意味します。一般的な梁と同様に建物の荷重を支え、安定性を保つ働きを担うのが特徴です。
地中梁の特徴・役割や同じ基礎構造の一つである「ベタ基礎」との違いを詳しく解説します。
特徴・役割
地中梁は、建物の1階部分を支える基礎構造の部材です。
一般的な梁は、建築物の柱の上へ水平に架けられ、2階部分の床や屋根の荷重を支えるために取り付けられます。梁の上にかかる荷重を柱や壁に分散して伝えることで、建物全体の強度と安定性を高める役割があるのが特徴です。
対して、地中梁の基本的な役割も一般的な梁と同じですが、設置される場所が異なります。地中梁は建築物の土台となる基礎部分に設置され、建物全体および1階部分の床を支えるのが特徴です。
地中梁は、主に鉄筋コンクリートで組み立てられ、独立した基礎部分をつなぐように設置されます。基礎同士を繋ぐことで建物全体の荷重を分散させ、基礎にかかる負担を軽減する役割を担っています。
また、不同沈下や傾き・歪みなどを抑制し、建物の安定性を高める働きや、地震時の水平力に抵抗する役割などもあり、建築物にとって重要な部材の一つといえるでしょう。
ベタ基礎との違い
地中梁とベタ基礎には、機能に大きな違いがあります。
そもそもベタ基礎とは、基礎部分の全面を鉄筋コンクリートで覆う構造です。独立した基礎をつなぐように鉄筋コンクリートを設置する地中梁は点で建物を支えるのに対して、ベタ基礎は面で均一に荷重を分散する仕組みになっています。広い面積で建物の荷重を支えられるため、安定性と耐震性の向上が期待できるでしょう。
また、基礎部分を全体的に鉄筋コンクリートで埋めることで、湿気対策や木材の腐食防止にもつながります。
ただし、床下全面に鉄筋コンクリートを設置する分、地中梁よりもベタ基礎のほうが施工にかかる費用は高くなります。材料費はもちろん、施工にかかる時間や手間も増えるため、人件費を含むトータルコストがかさみやすい点は、ベタ基礎のデメリットといえるでしょう。
地中梁の施工手順

建物の基礎部分に地中梁を設置する場合は、主に以下の手順で施工します。
- 基礎の掘削
- 鉄筋の配置
- コンクリートの打設
- 型枠の取り外し
第一工程は、基礎の形に合わせて地盤に溝を掘る作業です。図面(配筋図)に記載された掘削深さや幅に基づき、正確に掘削作業を進めます。
続いて、掘削した溝部分に鉄筋を配置します。図面を確認しながら、地中梁の主筋や配力筋、フープ筋などを適切な間隔で配置し、結束線で固定する作業です。この際、適切なかぶり厚さを確保する「スペーサーブロック」や配管やケーブルなどを通すための部材である「スリーブ」なども設置します。
鉄筋を配置したら、周りを型枠で囲みます。型枠を設置したあとは、コンクリートをミキサー車で運び、ポンプ車で型枠内に流し込むのが一般的な手順です。コンクリートを均一に充填したら、表面を平らにならし、養生を行います。
コンクリートが固まり次第、型枠を外せば、施工完了です。
地中梁の施工に関する注意点

地中梁を施工する際の注意点として、効率的に作業を進められる導線を意識することが大切です。
地中梁の高さは建物の構造計算によって決まり、一般的には300〜900mmの範囲で設計されます。またげる程度の地中梁であれば問題ありませんが、ある程度高さがある鉄筋を設置する場合、作業が効率的に進まないケースもあるでしょう。
例えば、900mmの地中梁を設置する場合、組み上げた鉄筋が障害物となり、反対側への移動に時間がかかってしまうケースも少なくありません。建設・建築工事の最初に行われる基礎工事の作業効率が低下し、進捗が遅れてしまうと、工期全体が遅れてしまう可能性も考えられます。
だからこそ、地中梁の鉄筋を組む際は、なるべく移動に時間・手間がかからないような導線を意識して施工する手順を決める必要があります。また、障害物をまたいで移動・作業できる昇降器具を活用するのも効果的な対策になるでしょう。
【関連製品】アルミ製昇降具「マタギ昇降具」

地中梁の施工をスムーズに進めたい方には、株式会社大同機械が取り扱うアルミ製昇降具「マタギ昇降具」がおすすめです。
マタギ昇降具は、地中梁をはじめとする現場のさまざまな障害物をまたげる高さに設計されています。障害物の反対側にも迅速に移動できるため、効率的に作業を進められるでしょう。
また、天板上で方向転換が可能な構造になっており、作業中、本体に正対した体勢で安全に昇降できるのもメリットです。加えて、折りたたんで収納できるため、少ないスペースで保管でき、持ち運びや現場間の移動も楽に行えます。
手軽に活用・運搬でき、地中梁の施工効率を高められる設備として、幅広い基礎工事の現場で重宝するでしょう。
なお、マタギ昇降具の仕様詳細は、以下の通りです。
| 型式 |
MTG-2600 |
| 天板有効寸法 |
幅 |
400㎜ |
| 長さ |
515㎜ |
| 作業床高さ |
2272〜2635㎜ |
| 設置寸法 |
幅 |
845〜938㎜ |
| 長さ |
1972〜2200㎜ |
| 収納寸法 |
長さ |
1633㎜ |
| 幅 |
845㎜ |
| 厚み |
302㎜ |
| 踏さん |
7本 |
| 自重 |
24.5kg |
| 許容荷重 |
130kg |
マタギ昇降具の詳細を確認したい方や導入を検討している方は、以下のページからお気軽にお問い合わせください。
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地中梁について

地中梁とは、建物の土台となる基礎部分に設置される梁のことです。主に、鉄筋コンクリートで組み立てられ、建物全体や1階床部分の安定性と強度を高める役割を担っています。
建築物によっては高さのある地中梁を設置するケースもあり、効率的に作業を進めるためには、導線を意識して手順を組み立てることが重要です。
なお、地中梁の施工を効率化できる設備をお探しであれば「
株式会社大同機械」にお任せください。
株式会社大同機械は、仮設機材や資材のレンタル・販売、オリジナル商品の開発に携わる会社です。工事現場や工場・倉庫など、幅広いシーンで安全に効率よく業務を進めるために役立つ各種商品を取り扱っています。
弊社では、電話やFAX、ホームページからのお問い合わせはもちろん、仮設機材のレンタル・販売のネットショップ「
仮設材.com」からのご注文にも対応しています。
また、ご希望の商品や数量が明確に決まっていない場合でも、工程ごとの最適な商品と搬入計画をご提案いたします。場合によっては、現地調査や製品の施工にも対応可能です。
地中梁の設置に必要な昇降器具以外にも、建設現場における設備・機材不足でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。