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フルハーネスの使用が義務付けられている高さは?選び方・使用方法も紹介

2025.12.03
フルハーネスの使用が義務付けられている高さは?選び方・使用方法も紹介

関連法の改正により、2022年1月2日から高所作業における墜落防止措置の一環として、フルハーネス型墜落制止用器具(フルハーネス)の使用が義務化されました。

そのため、現在新たに墜落制止用器具を購入する場合は、法的要件を正しく理解したうえで適切な性能を備えるフルハーネス製品を選定し、正しく使用する必要があります。

加えて、現場管理に携わる事業者は、フルハーネスを安全に使用するための環境整備も徹底しなければなりません。

本記事では、フルハーネスの使用が義務付けられている高さや製品選定時のポイントを詳しく解説します。また、フルハーネスを正しく活用するために必要な高所作業関連の設備や機材も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
 

フルハーネスの使用が義務付けられている高さは?

フルハーネスの使用が義務付けられている高さは?
フルハーネス(フルハーネス型安全帯)の使用は、2019年に施行された墜落制止用器具に関する改正労働安全衛生法及び、労働安全衛生規則によって、義務化されました。

法改正の背景として、建設業等の高所作業において使用される胴ベルト型安全帯は、墜落時に内臓の損傷や胸部等の圧迫による危険性が指摘されており、国内でも胴ベルト型の使用に関わる災害が確認されていることが影響しています。

また、国際規格等において、着用者の身体を肩・腰部・腿などの複数箇所で保持するフルハーネス型安全帯が採用されていることも考慮され、安全帯の名称・範囲と性能要件の見直しに踏み切りました。

法改正後は、安全帯の名称が「墜落制止用器具」に変更され、「胴ベルト型(U字つり)」は墜落制止用器具として認められなくなりました。
加えて、以下の要件を満たす「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(要求性能器具)」の選定および、使用が義務付けられています。
 
1. 6.75mを超える箇所では、フルハーネス型を選定 2m以上の作業床がない箇所または作業床の端、開口部等で囲い・手すり等の設置が困難な箇所では、原則としてフルハーネス型の墜落制止用器具を使用する ただし、フルハーネス型の着用者が地面に到達するおそれのある場合(高さが6.75m以下)は、胴ベルト型(一本つり)を使用できる ※ 一般的な建設作業の場合、5mを超える箇所、柱上作業等の場合は2m以上の箇所では、フルハーネス型の使用を推奨
2. 使用可能な最大重量に耐える器具を選定 墜落制止用器具は、着用者の体重および装備品の合計重量に耐えるものでなければならない
3. ショックアブソーバは、フック位置によって適切な種別を選定 腰の高さ以上にフック等を掛けて作業を行うことが可能な場合には、第一種ショックアブソーバを選定する 鉄骨組み立て作業等において、足下にフック等を掛けて作業を行う必要がある場合は、フルハーネス型を選定するとともに、第二種ショックアブソーバを選定する ※両方の作業を混在して行う場合は、フルハーネス型を選定するとともに、第二種ショックアブソーバを選定する
  参考:安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!
 

フルハーネスを選ぶ際のポイント



フルハーネスを選定する際に重視するべきポイントは、以下の通りです。
 
  • 形状
  • サイズ・耐荷重
  • ランヤード
  ここからは、各ポイントを深掘りして解説します。安全性の高いフルハーネスを選ぶために、ぜひ参考にしてください。  

形状

フルハーネスを選定する際は、まず製品の形状を確認しましょう。   各部位に装着するベルト・バンドの形状によって、以下のような種類に分かれます。
 
装着する部位 形状 特徴
ハーネス(背中ベルト) X型 ・背中ベルトがX状に交差するスタンダードなタイプ
・身体を固定する力と安定感が強い
Y型 ・背中ベルトがY字の形状になるタイプ
・見た目や腰回りがすっきりする
・腰道具をつけたい場合に最適
腰・胴ベルト ワンタッチ式 ・ワンタッチで簡単に着脱できるタイプ
・片手でも着脱できるため初心者におすすめ
・金具に重量がある
スライド式 ・バックルをスライドし、ベルトを締めるタイプ
・軽量性が高く、作業の邪魔になりにくい
腿ベルト V型 ・腿ベルトが股下でV字に交差するタイプ
・安全性が高い
・締め付け感が強く動きにくい
水平型 ・地面と腿ベルトが水平になるタイプ
・締め付け感は少ないが、墜落時にズレやすい
  安全性と装着しやすさ、装着後の動きやすさのバランスを考慮したうえで、作業内容や現場環境に適した製品を選びましょう。
 

サイズ・耐荷重

フルハーネスを選ぶ際には、製品のサイズと耐荷重性能も重視するべきです。

製品によってS・M・L・LLといったサイズが分かれており、それぞれ耐荷重性能が異なります。

基本的には通常のフルハーネスの耐荷重は100kgですが、130〜150kg以上に耐えるサイズの製品も存在します。自身の体重だけでなく、工具等を装着した後の重量も考慮したうえで、耐荷重に余裕のある製品を選ぶことが重要です。

身長と体重から適切な安全帯のサイズを表にまとめて展開しているメーカーが多いため、確認したうえで適切な耐荷重性能を備える製品を選びましょう。
 

ランヤード

製品を選定する際は、ランヤードのタイプも確認しておきましょう。

ランヤードとは、フルハーネスの背中側と構造物を接続するフックおよび命綱のことです。ランヤードは形状や素材によって、以下のような種類に分かれます。
 
ランヤードのタイプ 特徴
ロープ式 ・通常時でもロープを伸ばしたまま使用するタイプ
・主にナイロン製のロープが使用され、軽量かつ安価
・作業中にロープが邪魔になる可能性がある
巻き取り式 ・巻き取り用のレールが付いたタイプ
・ロープを収納できるため、作業の邪魔になりにくい
・収納時の摩耗によってロープが損傷しやすい
伸縮式 ・伸縮性のあるカール状ロープを使用したタイプ
・軽量かつコンパクトで操作もしやすい
  また、ランヤードの種類だけでなく、以下のようなポイントも確認しておく必要があります。
 
  • ランヤードの本数は1本でよいか、2丁掛けが必要か
  • 体重および装着後の総重量に適した耐荷重性能を備えたランヤードか
  • 使用箇所と地面との距離に対して適切な長さのランヤードか
  安全性と作業のしやすさを比較したうえで、最適な形状・素材のランヤードを選定しましょう。  

フルハーネスの正しい使い方

フルハーネスの正しい使い方

フルハーネスは正しく装着し、使用することではじめて安全器具として機能します。建設業労働災害防止協会が定義するフルハーネスの適切な装着手順・使用方法は、以下の通りです。
 
【装着手順】
 
  1. 肩ベルトに腕を通す
  2. 胸バンドを連結する
  3. 腰ベルトを締める
  4. 腿ベルトを連結する
  5. 肩ベルトの長さを調節する
  6. 腿ベルトの長さを調節する
  7. 胸バンドの長さを調節する
  8. 装着完了
  着用時の注意点として、各ベルトに緩みや捩れがなく、バックルが確実に連結されているか確認しましょう。
 
【使用方法】
  まずは、フルハーネスのフックを取り付ける安全帯取付設備を確保します。墜落時の被害を軽減するために、以下の条件を満たす安全帯取付設備にフックを取り付けましょう。
 
  • 墜落阻止時に発生する大きな衝撃に耐えられる取付設備か
  • 周囲にランヤードの切断につながる鋭利な角はないか
  • 墜落時に激突する恐れのある障害物が下方にないか
  なお、前提としてフルハーネスは、墜落する労働者を地面などに激突させないために使用しますが、水平距離が確保できる場合は、墜落の危険自体を防ぐことも重要です。具体的には、労働者が墜落危険箇所に接近できない箇所にランヤードを取り付けることで、高所からの墜落自体を防げるでしょう。   同時に墜落阻止時の衝撃を低減させる対策も必要です。衝撃吸収性能に優れるショックアブソーバーを搭載した製品を選定・使用するのはもちろん、特に下層や地面までの距離が近い場合は、以下のような対策を実施しましょう。
 
  • ランヤードの取付け位置を高くする
  • なるべく短いランヤードを使用する
  安全帯のフックを取り付ける際は、フックの主軸と墜落時にかかる力の方向が一致するように取り付けることで、取付箇所からの脱落を防止できます。

また、フック掛け替え時は墜落リスクを低減させるために、2丁掛けの使用を徹底しましょう。
 
参考:正しく使おうフルハーネス  

関連製品の紹介

  高所作業の安全確保に役立つ設備・機材をお探しの方は、株式会社大同機械にご相談ください。

弊社では、親綱や各種取付金具など、フルハーネスを使用する際に必要な関連製品を複数取り扱っています。
 
製品名 製品の特徴・用途
親綱 ・フルハーネス(墜落制止用器具)をかけるためのロープ
・高強力、低伸度のポリエステル原着糸を使用
・作業エリアや立入禁止区域の分断に役立つ
・6〜50mまで長さのバリエーションが豊富
・色識別によってロープの長さや設置意図が一目でわかる
緊張器 ・親綱の先端に付けて使用する長さ調節機能付きフック
・親綱を張る際のテンション(張度)を調整可能
・親綱と緊張器はセットで活用するのが基本
親綱支柱ST ・鉄骨に取り付ける親綱用の支柱(スタンション)
・親綱支柱と緊張器、親綱を合わせて使用することで墜落防止対策として機能する
・支柱本体に角度がついているため、鉄骨の上を歩行しやすい
・直交・平行どちらにも対応可能
・安全ブロック用のスタンションとしても活用可能
折板親綱支柱 ・金属折板屋根墜落防護用支柱
・安全帯取り付け設備として十分な強度と性能
・屋根材を傷めず、簡単に取り付け、固定可能
・ベースと支柱が分割して、コンパクトに収納可能
・支柱に単管パイプを取り付け、手すり柱としても使用可能
SLポール ・水平親綱緊張用支柱
・枠組足場の組立て、解体作業時に活用可能
・軽量、高強度のアルミ製
・エ具なしで簡単に取付可能
親綱クランプ ・ボルト式の親綱ピース
・親綱ピースを取り付けられないH型鋼などに溶接や穴加工なしで取付可能
・取付位置高さを調節できるため、胴ベルト墜落制止用器具とフルハーネス型墜落制止用器具の両方に対応可能
・軽量なのに強靭かつ、耐久性も抜群
被覆ワイヤクランプ ・被覆ワイヤロープの取付に適した親綱ピース
・鋼材に溶接や穴加工なしで取付可能
・軽量なのに強靭かつ、耐久性も抜群
・安全ブロックの吊り下げや墜落制止用器具(フルハーネス)の取付も可能
ガードロープ ・柱などに巻きつけて使用する親綱取付用器具
・鉄骨柱への親綱ピース溶接が不要
・短時間かつ簡単に親綱を張れる
・マグネット付で簡単に取付可能
78ロリップ ・親綱式墜落防止器具
・鉄塔や電柱、梯子などの昇降中の墜落を防止
・レバーの切替え操作で定位置作業時の墜落も予防
安全ブロック ・仮設用墜落防止装置
・ハーネスや安全帯と接続し、墜落事故防止
・建設工事現場や送電鉄塔、造船所、製鉄所などの高所作業に使用可能
リフティングポスト ・安全ブロック吊下げ専用支柱
・安全ブロックがリフティングポストに接触せず、ワイヤベルト等が鉄骨の角に当たらない安全性を徹底した構造
・鉄骨上での作業や歩行を邪魔しない
  上記の製品以外にも、幅広い作業場所や用途における安全確保に役立つ設備・機材をご用意しています。
 
各製品の詳細を知りたい、または確認しておきたい疑問やご相談がある方は、以下のページからお気軽にお問い合わせください。
 
>>安全関係製品に関するお問い合わせはこちら<<
 

フルハーネスの着用義務について

  フルハーネスは法的に使用が義務付けられている墜落制止用器具です。

墜落防止措置として法的要件を満たすのはもちろん、安全かつスムーズに作業を進めるためにも、本記事で紹介した製品選定のポイントや正しい装着・使用方法を意識しましょう。

  なお、フルハーネスを使用する際に必要な親綱や各種取付器具をお探しであれば、ぜひ「株式会社大同機械」にお任せください。

株式会社大同機械は、仮設機材や資材のレンタル・販売、オリジナル商品の開発に携わる会社です。工事現場や工場・倉庫など、幅広いシーンで安全に効率よく業務を進めるために役立つ各種商品を取り扱っています。

弊社では、電話やFAX、フォームからのお問い合わせはもちろん、仮設機材のレンタル・販売のネットショップ「仮設材.com」からのご注文にも対応しています。

また、ご希望の商品や数量が明確に決まっていない場合でも、工程ごとの最適な商品と搬入計画をご提案いたします。場合によっては、現地調査や製品の施工も可能です。

フルハーネス関連製品以外にも、建設現場における設備・機材不足でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
 
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